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名人と呼ばれる人に共通するもの

加藤一二三(将棋9段)

      

『致知』2016年2月号 特集「一生一事一貫」

――名人と呼ばれる人に共通するものはありますか。
ひと言でいえば、負けず嫌いということでしょうか。

升田名人というのは面白い人で、
対局で私が勝つと
その後の感想戦(対局を振り返っての研究)が
3時間に及ぶんです。
そのくらい自分の将棋を徹底して見つめられた。
だけど、自分が勝った時は10分で終わり(笑)。

棋士は皆負けん気が強いのですが、
特に升田名人のそれは有名でした。
ある時など午前2時に対局が終わって、
感想戦を終えて将棋会館を出たのは
朝7時だったこともあります。
大山名人もまた「意地」が口癖でしたし、
感想戦は真剣そのものでしたね。

ただ、私が思うのには、
それは単なる負けず嫌いというだけではなく、

――真理の探究ですか。
真理の探究というものが必ず一緒にある。
つまり、自分はなぜ負けたのかということを
客観的に知りたいという好奇心ですね。

プロの将棋の世界には10の222乗という
天文学的な指し手があります。
その中からお互いが最強の手を考えるんです。
最善手を閃くことも多い。
私の場合、85%は直感で分かると考えています。
ただ、そこからプロの嗜みとして
直感で捉えた手の確かさ、読みを
何度も重ねて精査していく。

偶然に支配されない必然の一手を探求して、
見つけた一手に魂を込めて指す。
この過程は真理の探究そのものでしょう。
だからこそ、プロ棋士はその一生を懸けるだけの
価値を見出して指し続けるのです。

いまでも思い出すのは、
昭和43年に難敵・大山名人と十段戦を戦った時、
私は1つの手を7時間かけて考え抜いて勝ちました。
7時間かけて見つかる素晴らしい手があったのかと、
勝負の深さを実感しました。
勝負の奥深さが分かるほど、
そこにある大きな感動を体験できるんです。

――将棋の醍醐味もそこにあると。
だからこそ、生涯を懸けて棋士としてやっていけるわけです。
私たちは引退して死ぬまで棋士なんですね。
10年、20年、私のように50年、60年と
続ければ続けるほど、極めようとして
なお極めきることのできない将棋の奥深さに、
現役最年長となったいまも感動を覚えます。

いまは転職が当たり前のような時代だけど、
少年の時から棋士として歩んできた私にとって、
この道はまさに天職だと思っているんです。

【加藤一二三 プロフィール】
昭和15年福岡県生まれ。29年14歳で4段となり史上最年少記録。
18歳でA級8段。大山康晴、中原誠、米長邦雄ら将棋界の実力
第一人者を相手にそれぞれ100局以上対局。43年大山十段から
初の10段位を奪取。57年に名人となった他、王位、棋王、王将
などのタイトルも獲得した。
著書に『負けて強くなる』(宝島社新書)など多数。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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