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一流選手を育てる親の共通項

杉山芙沙子(一般社団法人 次世代SMILE協会代表理事)

      

『致知』2016年1月号 特集「リーダーシップの神髄」

私はトップアスリートの母親として、
またコーチとして杉山愛と深く関わってきましたが、
常々、そこに介在する「人を育てる」ことについて、
その本質とは何かを考えていました。

そこで、日本を代表する若手アスリート
(錦織圭選手、石川遼選手、宮里藍選手)の
ご両親に直接話を伺い、私自身の経験を加味してまとめたのが、
2010年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で書き上げた修士論文
「日本の若手トップアスリートにおける両親の教育方針に関する一考察」です。

研究をとおして子供の育て方に関して様々な共通点が
浮かび上がってきましたが、
ここでは二つのポイントをご紹介します。

一つは親の子供に対する無二の愛、見返りを求めない愛情です。
もちろん世の多くの親御さんたちは
愛情を持って子供たちに接しているわけですが、
トップアスリートの親たちが間違えなかったのは、
その無二の愛情を正しい方向に扱えた点にあります。

子供は体だけでなく頭も心もすごいスピードで成長していきます。
ところがその成長に親がついていけないために、
自分の考えを押しつけてしまう現象が多く見られました。
これは何もスポーツの世界だけでなく、
受験の世界でも同じような傾向があるようです。

大切なことは、無二の愛情を持って子供を応援する、
子供のよいところを引き出そうと努力することですが、
そのためには親もまた子供に置いていかれないように勉強する必要があります。

特に子供がジュニアでトップクラスの選手になってしまうと、
親は自分が何をすればよいのか分からなくなってしまうケースがよくあります。

子供の世界がどんどん広がっていく一方で、
それに見合うだけの情報量だとか会話力が親にないと、
そこから親子間に亀裂が生じ、
それがもとで親に子供の才能が潰されてしまうのです。

子供への無二の愛情は、親にとってエネルギーの発生源になります。
その素晴らしいエネルギーを正しい方向に注ぐためには、
親自身も学ぶ姿勢をしっかりと持つことが必要なのです。

もう一つのポイントは親と子供の距離感の取り方です。
どんなに競技レベルが向上しても相手はまだ子供です。
ですからいまは抱きしめる時、ここは突き放す時だということを
きちんと理解して接してあげることが必要なのです。

ところが往々にして突き放してはいけない時に突き放したり、
突き放すべき時にくっつきすぎることが見受けられますが、
それでは選手としての成長を阻害しかねません。

そういった子供との距離感の取り方もまた
親の学びにかかっていると言ってよいでしょう。
 

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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