村上和雄(筑波大学名誉教授)
『致知』2015年12月号 特集「人間という奇跡を生きる」
私が遺伝子の研究をやっていて強く感じたことは、
DNAの暗号を書いたのは誰かということです。
DNAはA、T、C、Gという僅か4つの化学の
文字(塩基)でしか書かれていない。
しかし、その4つですべての生き物の体の設計図が
書かれている。極めてシンプルですよね。
真理というのはシンプルなんです。
この設計図、一番目にA、T、C、Gの
どれかが並ぶ可能性があり、次も4とおりのうちのどれか、その次も…。
人間の場合、これを32億回掛けていくんです。
だから4の32億乗。
天文学的と言うより、超天文学的な確率の中から
一人の人間が生まれてくるんです。
だから偶然とはとても考えられないわけですね。
人間業でない。そのことだけは確かなんですよ。
その働きを人によって何と表現するかは違うけれども、
私はサムシング・グレートと言っています。
サムシングですから、まだよく分からないんです。
しかし、私自身、研究をとおして
人智を超えた世界を垣間見ることができたのは、
非常にありがたいことで、そうなると謙虚にならざるを得ません。
少々世界に先駆けて何かを発見したと威張ってみても、
それは所詮人間として生まれたからできることなんです。
生命の根源に畏敬し感謝こそすれ、
傲慢になってはいけないと思いますね。
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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。
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