ご先祖を知れば、スイッチはオンになる

ご先祖を知れば、スイッチはオンになる

天明 茂(事業構想大学院大学教授)

      

『致知』2015年6月号「一天地を開く」

初めて家系分析を行ったのは
薄衣先生の事務所に入ってすぐの頃でした。
戸籍謄本に基づいて四代前までの家系図を作った後、
先生の指導で母親や親戚から祖父母の生き様を聞いてみました。

ーーただ、家系図だけを見ても、
その背景にあるものまではなかなか分かりませんものね。

私たち夫婦は両親と同居していたのですが、
私の父と妻との間に確執がありました。
しかし、調べていくと妻と父だけでなく、
母と義理の祖母、祖母と義理の曾祖母、
曾祖母とその上の高祖母の間にも
似たような確執がありました。
同じパターンが何代にもわたって繰り返されていたんです。

このままいったら、今度は私たちが子供と争うことになる。
「うわぁ、これは何としても
汚れた家系を正さなきゃ」と思って、
さらに調査を進めたら、
他にもいろいろなことが見えてきました。

例えば、曾祖父母は粟餅屋をやっていた
同じ名字の天明家に夫婦養子に入るのですが、
養家先の両親との対立が激しくなって養子縁組を解消し、
絶家していることが分かりました。

粟餅屋の両親が「このままだと絶家してしまう」と
泣いて頼むのを振り切って曾祖父母は家を出てしまう。
その時、曾祖父母は「勝手にしろ。
その代わりおまえたちが死ぬ時は
馬乗りになって絞め殺してやる」という捨て台詞を言われた、
という話を母が祖父母から伝え聞いていたというんです。

それを知った時には身の毛がよだちましたが、
そう思って改めて家系を調べていくと、
家系の中に首つり自殺をした人が何人もいたんです。
私にはまるで「首を絞め殺してやるぞ」という
怨念のようにしか思えませんでした。

ーーあまり知りたくはない現実ですね。

でも、それを知ったことがかえってよかったです。
粟餅屋をやっていた天明家の墓を探し出し供養してから、
不思議とよいことが起こるようになりました。
妻と父の確執も不思議なくらいなくなりました。
というのも、確執の原因が
家系分析によって分かってきたんですね。

父親は無口で陰険な人だったと申しましたが、
その背景を探ると、
祖父が人の借金を肩代わりして返せなくなり、
父と父の兄が人質として
百姓奉公をさせられていたことが分かりました。

早朝から夜中まで働きづめの中で父は、
祖父が借金をしてしまったために
自分たちがこんな辛い思いをしなくてはいけないという
惨めさをいやというほど味わうんですね。

その頃から、人を信用してはいけない、
お金は無駄に使っちゃいけない、
贅沢はいけないという
価値観が培われていったようです。

ーーそうでしたか。

だから、父は妻がちょっと
美味しいものを作ると箸をつけなかった。
妻にしてみたら
「お父さんのために一所懸命
料理をこしらえたのに、きょうも食べてくれない。
きょうもこんな皮肉を言われた」と
大変なストレスだったのですが、
父は決して悪気があったわけではありませんでした。

ーーしかし、そういう背景が分かってくると、
対立していた相手の立場というものが
理解できるのではありませんか。

おっしゃるとおりです。妻の場合も、
「そうか、お父さんは私を嫌って
食べないわけじゃないんだ。
贅沢ができないだけなんだ。
だからお豆腐なら食べてくれるんだ」と。

それ以来、父には豆腐や目刺しを出し、
私たち夫婦はちょっと美味しいものを
食べるようにしましたが(笑)、
そういう工夫をする中で妻も父を恐れなくなって
自分から話ができるようになったんです。

私は五人きょうだいですが、
父は晩年、きょうだいの連れ合いの中で
私の妻を「セツ子、セツ子」と
一番可愛がってくれましたよ。
 

◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫

「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

『致知』には毎号、心の琴線に触れる記事が満載です。
まだお読みでない方は、こちらからごお申し込みください。

「致知」購読の申し込みはこちら

毎月858円で、人間力が高まります。
 ※お気軽に 1年購読
 10,300円 (1冊あたり858円/税・送料込み)
※おトクな 3年購読 
 27,800円 (1冊あたり772円/税・送料込み)
◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫



毎日 配信中!「人間力メルマガ」

人間学を学ぶ「致知」のエッセンスをギュッと凝縮 読者数47,000人!!

特典1仕事や人生に役立つ記事が無料で読める!

特典2メルマガ会員限定のプレゼント企画もあり

特典3朝礼でのスピーチネタとして使える!

メルマガ配信の登録はこちら

携帯電話やスマートフォンのメールアドレスで登録をされる方は、「@chichi.co.jp」からのメールの受信ができるよう設定してください。 >設定方法はこちら

※ご登録前にお読みください。 読者登録規約 個人情報保護ポリシー ※解除はこちら

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする