RSS FEED
※キーワードでサイト内の記事が検索できます

毎日を丁寧に生きるコツ

鈴木秀子(国際コミュニオン学会名誉会長)

      

『致知』2014年11月号「魂を伝承する」

毎日を丁寧に生きるコツは
「いま、ここ」に意識を集中する習慣をつけることです。
鬱病の人たちなどは過去のことをいつまでも後悔したり、
未来をあれこれ思い悩んだりする傾向がありますが、
現実にはまっさらな「いま、ここ」しかありません。
いま、この瞬間は過去も未来も悩みも存在しないのです。

これは私自身が日々心掛けていることでもあります。
私の一日は朝五時のお祈りから始まりますが、
手帳を開くと講演や執筆、会食、相談など
スケジュールがみっちり詰まっている日も少なくありません。
しかし、一度にできるのは一つだけ。
いまここに溢れる神様の愛を、
目の前の人に伝えていきたい、という思いで、
その一事だけに集中します。

それがたとえ百㌫でなかったとしても
自分で精いっぱいやれたと思ったら
自己完結させて次のことに取り掛かります。
過去に戻ることはしません。
前も後ろも断ち切っていまここに思いを注ぐ、
禅宗で言うところの前後際断の生き方です。

その習慣を積み上げていると、
丁寧に生きることの意味が分かってきます。
自分が使う椅子や机、本、パソコン、自然の光景、
出会う人たちなどに自然と意識が向きます。

「ああ、この椅子のおかげでゆっくりくつろげる。
誰がどのような思いでデザインし組み立てたのだろうか」
「目の前にいるこの人は、どのような人生を送ったのだろうか。
もっと話を聴いてみたい」といった思いが
込み上げてくるようになるのです。
その方とお話しする時は、
自分が何か話したいという頭の動きをいったんストップさせて、
相手が伝えたいことに意識を集中するようになります。

そして、いま、ここに集中しながら
丁寧な生き方を続けることは、
目の前の試練から抜け出す一つの秘訣でもあります。

末期のがんに侵され余命一か月と宣告された
二十六歳の青年がいます。
人生もこれからという時にがんを発症し、
本当ならば自暴自棄に陥っても不思議ではありません。
しかし、彼は傍目には辛い状況であるにもかかわらず、
いつも明るく楽しそうに過ごしていて、
私に初めて会った時には
「この病気のおかげで鈴木先生とお会いすることができました」という
驚くような言葉まで出てきたのです。

そこから伝わってきたのは、自分の病気を受け入れ、
残された命の一瞬一瞬を精いっぱい
輝かせて生きていこうとする青年の真摯な生き方でした。

五分間という僅かな時間ですが
私も数回、青年の病室を訪ねてお祈りをしました。
またご家族を教会に呼んで
シスターたちと一緒にお祈りしたこともあります。

不思議なことに肝臓全体に広がっていた
がん細胞がいつの間にかとても小さくなっているのです。
そのために本人はほとんど苦痛を感じなくなるまでになっています。

子供の病気の中には、不仲の両親を繋ぎ留めるために
起こるものもあると言われていますが、
青年の両親もまた決して仲がよいとはいえない状態でした。
しかし、いまは息子さんの病を通して
お互いの生き方を省みつつあります。
私たちが体験する出来事に
意味のないものは何一つとしてありません。

目の前にいる掛け替えのない家族。
その一人ひとりの長所や素晴らしさもまた、
丁寧に生きることによって見えてくるのです。
 
◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫

「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

『致知』には毎号、心の琴線に触れる記事が満載です。
まだお読みでない方は、こちらからごお申し込みください。

「致知」購読の申し込みはこちら

毎月858円で、人間力が高まります。
 ※お気軽に 1年購読
 10,300円 (1冊あたり858円/税・送料込み)
※おトクな 3年購読 
 27,800円 (1冊あたり772円/税・送料込み)
◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫◫



上に戻る



メルマガ配信の登録はこちら

携帯電話やスマートフォンのメールアドレスで登録をされる方は、「@chichi.co.jp」からのメールの受信ができるよう設定してください。 >設定方法はこちら

※ご登録前にお読みください。 読者登録規約 個人情報保護ポリシー ※解除はこちら