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失敗と躓きの数が人生の勲章

坂本健一(古書店「青空書房」店主)

      

(『致知』2014年1月号「君子、時中す」より)

──いまもお元気で現役を貫かれている秘訣はなんでしょう。

一にも二にも本ですな。
本屋に対する愛情と、本が私に向けてくれた愛情。
その交流だけです。

本ってね、生きて甦って私の心の中に飛び込んできてくれる。
「本は生きている」と書いたら、
「そんなアホな。ただ紙に活字が印刷してあるだけや」
と言う人がいたけど、そんな人は既に死んでるわ。

本ってね、読んであげることによって
その作家の情熱や理想が伝わってくるんです。
どうしたら人に伝わるか、
自分のこの思いをどんな方法やったら
相手に伝えることができるか、
一所懸命考えて形になったものが本です。

──きょうまで歩んでこられて、
  人生で大事なことはなんだと思われますか。

自分を偽らんように、できるだけ自分に素直に生きること。
所詮世の中は嘘で固められているけど、
自分に対して嘘をついたらおしまい。

それから、人生辛いことも多いけど、
上司が悪い、世の中が悪いというのは通用せん。
全部自己責任。
どんな環境になっても、
病気で動けなくなっても、
それが自分の運命や。

私みたいに90になってまだ元気で
商いをさしていただけてるのは、
有り難すぎるほどの人生やから、心を尽くして、
人々にいままで受けてきたご恩、
受けてきたいろんな知識とか知恵を伝播していくのが
私の仕事やと思ってます。

これまでたくさん過ちや失敗を重ねてきたから、
それを伝えて若い人たちの参考になったらええやろ。
失敗と躓きの数がその人の勲章。
その数が多いだけ人生は豊かになる。
それが一番の貯金ですよ。

──勇気づけられる助言です。

失敗して自分は一番しょうもない人間やと
思うのと同じレベルで、
自分ほど強くて、真っすぐで、
負けないやつはおらんという二つの重心を持つこと。
片側だけやと転んでしまう。

そして地べたに放り出されても、
そこで負うた傷を勲章に変える。
人生はオセロゲーム。
真っ白の裏に真っ黒。
真っ黒の裏に真っ白がある。
真っ黒の真後ろに真っ白があることを忘れたらいかんですよ。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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