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すべては相手のWINのために

鎌田 洋(ヴィジョナリー・ジャパン社長)

 

(『致知』2012月9月号 より)

 
人生には必ず決定的瞬間が訪れるという。
私にとってのそれは、四十七歳で決断した転職だったと、
いま振り返って思う。

その頃私は、ディズニー・ユニバーシティという
オリエンタルランドの全スタッフを指導、
育成する教育部門のマネージャーを務めていた。

立場上、講演を依頼されることが多かったが、
いずれも広報を通じて許可されたもの。
対象はスポンサーや関連企業など、
一部の企業に限られていた。

加えて、主任研修、課長研修といった
判で押したような研修が殆どで、
皆やる気がなく、
やらされ意識で聞いている人たちばかりだった。

より多くの企業様に、
私がディズニーで学んできたことをお伝えしたい。
一度しかない自分の人生を、
もっと大事に生きていただくきっかけを与えたい。

そう思い立ち、十五年勤めた会社を退職。
「7つの習慣」で知られるセミナー会社に転身し、
三年間の修業を経て、
一九九九年にヴィジョナリー・ジャパンを立ち上げた。

営業をかけようにもお金がないため、業者には頼めない。
家内や娘に手伝ってもらいながら自分たちで会社案内をつくり、
それを日本全国のありとあらゆる商工会議所に送った。

私がセミナーや講演を通して一貫して訴えていることは、
企業のCS(顧客満足)をいかに高めるかということである。
いまでこそディズニーのホスピタリティやCSの概念は
広く社会に浸透しているが、
当時はCSなどと言っても、真剣には取り合ってもらえなかった。

そのため、暫くの間はどこからもオファーが来なかったが、
約五百か所に送ったうち、一か所だけ、
郡山コンベンションビューローから声が掛かった。

会は盛況に終わったものの、
依然としてオファーの数は点々としたまま。
そうして一年が過ぎた。

それでも諦めずに続けていたある日、奇跡は起きた。
突如として、大手通信会社さんから講演の依頼が
舞い降りてきたのである。

よくよく聞いてみると、その担当者は、
一年前の郡山での講演を聞いてくださっていたのだ。
名刺交換もしていなかったが、
その方は私のことを覚えていてくださり、
「是非、いつかは」と思っていたという。

そこで管理職二百名を相手に講演したことがきっかけで、
どんどん仕事が入ってくるようになった。
人生の花はすぐには咲かない。その時はダメでも、
数年後に花開くことがあるということを確信した。
だからこそ、何があっても諦めず、
小さな縁を大事にしていくことが肝要なのだと気づかされた。

私の会社には営業マンはいない。
これまですべて人からの紹介だけでやってきた。
いまでもお付き合いをさせていただいている大手航空会社さんは、
そこの担当者が私のことを知り合いから聞いたようで、
それが縁で十二年間、
一万人以上の方に研修を受けていただいている。

一度出逢った人とは長くお付き合いをする。
これが私の鉄則だ。
縁を生かすためには、相手のWIN、
つまり相手の得することをして差し上げることが
重要だと考えている。

いかにして相手を蹴落として自分を売り込むかという、
自分のWINしか考えないようでは、
絶対に上手くいかない。

私を支えてくれている人の一人に、
大阪で酒屋を経営している社長さんがいるが、
彼は物凄く勉強熱心な人で、
「鎌田さん、勉強会があるんだけど来てくれないか」
と、頼まれることがある。

私はその時にいつも、「おう、いいよ」
と言って、大阪に駆けつけて勉強会に参加する。
そうすると、今度は私が大阪で講演会をする時に、
彼が知り合いの社長や従業員の人たちを
一気に集めてきてくれる。

「人生意気に感ず」という言葉があるが、
相手のWINを考えて行動すれば、
必ず相手はこちらにWINを返してくれる。

私の父は九十九歳で亡くなったが、
晩年、いつも私に言い聞かせていた二つの教えがある。
一つは「常に健康であれ」。
もう一つは「義理を欠くな」だった。

相手から何か施しを受けたら、絶対に忘れない。
それは必ず返す。
この父の教えがあったからこそ、
いまの私があるのだとつくづく思う。

私はこれまでセミナーや講演を通して、
何万人もの人たちを見てきたが、
夢を実現する人とそうでない人との差は、
覚悟の度合いにあると確信している。

揺るぎない覚悟さえあれば、当然努力はするし、
自分の至らないところを真摯に反省して、
克服しようとするだろう。

「捨つることは得ることなり」という言葉がある。
事を成し遂げようとすれば、
何かを捨てなければならないという意味だ。

私はディズニーを辞める時、
周りから裏切り者と叩かれた。
転身先の会社では最初、契約社員として雇われ、
固定給はなく、収入は自分の腕次第。
当時私は二人の子供を私立中学に
通わせていた父親である。

無謀と言う人もいたが、
後に引けないという揺るぎない覚悟が、
私を突き動かす原動力になったのだと感じている。

「すべての結果は自分が創り出している」
過去は変えられない。
しかし、いまの行動によって
未来はいかようにも創ることが可能だ。
私は六十歳を過ぎたが、自分の声が出るうちは、
CS向上のセミナーを通して
他人様に感動を与え続けていく覚悟である。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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