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駐在員の三段階

桜井正光(リコー会長)

      

(『致知』2008年3月号 特集「楽天知命」より)

 向こう(イギリス)にいた時に、
 これは日本とは違うなと実感する場面に出くわすたびに、
 その出来事を二百ページくらいの分厚い手帳に
 メモしておいたんです。
 
 そして社長になって自分のホームページに
 「世界の中の日本」というページを設けて、
 それを順番に紹介したんです。

 その中に、「駐在員の三段階」というのがあります。

 最初の段階は語学もそんなに流暢ではなくて、
 表現力もヒアリング能力もあまりないから、
 誰もが相手の話を真剣に聞くんです。
 
 先方も日本人のことをあまり知りませんから同じで、
 お互いにそうやって非常に
 いいコミュニケーションが取れるんですね。

 ところが、いくらコミュニケーションを取っても、
 リコーでいうと厚木工場の生産性や品質レベルを
 上回るものにはならない。
 
 「いったいどうなってるんだ」
 とお互いに相手のせいにし始めるのが第二段階です。

 イギリス人というのは出勤率が九十%で、
 だいたい十人に一人はいつも来ないんです。
 それでこちらが
 
 
 「出勤率が悪いからダメなんだ」
 
 
 と言えば、彼らは
 
 
 「日本人はいつも昼間に仕事をしないで、
  残業や休日出勤で仕事をする。
  我々と一緒になってやってくれない」
 
 
 と言い返す。お互いに批判し合うんです。

 だけどこの批判の時代が案外大事で、
 これをやっていると、お互いにいくら批判し合っても
 何も生まれないことが分かってくる。
 
 現実を受け入れ、どうすべきかを考え始める。
 
 ここは厚木ではなくイギリスなんだと。
 
 ここでいかに品質を上げ、生産性を上げるかということで、
 出勤率九十%でも生産性が落ちない方法を考え始めるわけです。
 これが第三段階なんです。

 経験からすると、一段階、二段階がそれぞれに約一年半。
 三年くらいしてようやく建設的、改革的な関係を築けるんです。
 
 だから、駐在員を二段階の誹謗中傷の時代に
 日本に戻してしまうと、外国に対して
 非常に悪い印象を持って戻ってくるからよくない。
 
 三段階の建設期までいって戻すのが一番いいですね。
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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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