私を導き、育んでくれたもの

私を導き、育んでくれたもの

越智直正(タビオ会長)

 

『致知』2009年10月号より

13年に及んだ丁稚奉公は過酷を極めましたが、
古典とともに、あの厳しい体験がなければ
いまの私はないと断言できます。

6畳1間に6人で住まわされ、
毎朝5時55分の起床から深夜まで、
休みもほとんどなく働きずくめに働きました。
大将には朝から晩まで「アホ」「ボケ」と罵られ、
とことんしごかれました。
何かへまをしでかそうものなら、
「足を踏ん張れ。歯を食いしばれ」と命じられ、
火花が散るほど強烈なビンタを見舞われました。
まるで軍隊のようでした。

おまけに私は、四国出身で言葉も習慣も違うため、
仲間からは格好のいじめの対象になりました。
問題が起これば、何でも私に責任を押しつけてくる。
1階で起きた失敗を、2階で作業をしている
私のせいにされるようなひどい有り様で、
1人で作業をする時には
「わしは男だ、わしは男だ」
と繰り返して、
溢れてくる涙を必死で抑えようとしたものです。

一度その辛い思いを手紙にしたため、
兄に送ったことがありました。
自分はこの先も、
器用に立ち回る都会の連中に交じって
やっていける自信がありません。
そういう趣旨のことを切々と綴ったところ、
すぐに兄から返事が来ました。

封筒の中には2枚の便箋にたった2行、

「山より大きな猪はいない
 海より大きな鯨はいない」
 
とありました。
きっと兄は間違って書き送ったに違いない。
最初はそう思いました。
 
しかし読み返すうちに、
それが兄からの戒めであることが分かったのです。
いくらガタガタと泣き言を書き連ねても、
実際はおまえが言うほどのことはない、
黙って自分の職務を全うせよ、
と兄は説いていたのです。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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