森繁久彌さんからの質問

森繁久彌さんからの質問

森繁久彌(俳優)

 

(『致知』2001年7月号 特集テーマ「涙を流す」より)

私が卒業した大阪の北野中学校から以前、
講演に来てくれって言われたの。
講演する材料がないんで、じーっと汽車に乗りながら
考えてたんです。

それで、そうだ、と。

で、演壇に上がっていきなり、

「あなた方はいくつになりましたか」

と聞いた。そんなことは聞かなくても
中学二年生か三年生か、大体わかるけれども。

続けて、

「その年になるまで、
 君らはどれだけの人を動かしているかわかるか?
 君、答えてみなさい」

って言ったら、

「まあ百人ぐらいですか」

と言う。

とんでもない話です。
一人の人間が生きていくためには、
何十万の人間が動員されてるわけです。

長いことかかって肥やしやったり、水やったりして、
野菜を作ったり、米作ったり。
そればっかりじゃなくて、中には海山に入って魚釣ったり、
牛飼ったり、豚飼ったり、いろんなことをしている。

「それじゃあ、君たちはそれがわかったら、
 それだけの人間に対して一遍でも感謝をしたか?

 何かお返しをしたか?

 どうだ、おい」

そう言ったら、みんなちょっとがっくりきちゃってね。
あんまり返してないらしいんだ(笑)。

だからね、そういう人間を動員して
自分が大きくなってきたということを、
もうちょっと意識したほうがいいんじゃないかということを
言ったんです。

そしたらね、二、三日たったら、
私のうちのベルを鳴らして一人の少年が入ってきたんです。
それはね、そのときに聞いてた男の子なんです。で、

「こんな時間に申し訳ありませんが、
 ちょっとお話がしたいんです」

「ああ、どうぞ。どういうことですか?」

「いや、僕はちょっと盲点をつかれたような気がしました。

 実は私はもう死のうと思ってました。
 自殺したいと思ってました。
 でも思いとどまりました。

 あなたのお話からです」

って。

僕はそんないい話はした覚えはないんでね。

でもその子からうまく家の電話番号を聞きだしてね、
電話をして、

「ここで預かってるから来てくれ」

って迎えにきてもらった。

結局、その後その少年も大きくなりました。

だから、あんまり難しく考えなくていいんじゃないかな。
ハッと気がついたら、それだけ進歩したんだから。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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