「安田善次郎が貫いた人生信条」

「安田善次郎が貫いた人生信条」

安田弘(安田不動産顧問)

 

(『致知』2009年4月号 特集「いまをどう生きるのか」より)

(曾祖父の)安田善次郎は生前、処世に関する
様々な本を書いています。
その中で彼は、自分がお金持ちになれた理由を
次のように述べています。

どんな仕事をするにせよ、自分でこうしようと決めたことを、
コツコツコツコツやっていく、
その「意志の力」ほど大切なものはないのだ、と。

本当は誰にでもできることなのに、意志の力が弱いために、
途中で迷ったり、せっかく貯めようとしていたお金を無駄遣いして、
結局目的を達せられずに終わってしまう。

毎日毎日自分で決めたことをしっかりと積み重ねていけば、
凡夫でも必ずお金持ちになれる。
驚くような仕掛けも何もない。

一歩一歩、目標に向かって着実に歩んでいくのが
最も大切なことなのだと。

また善次郎は、巨万の富を築いた後も
「勤倹貯蓄」の精神を貫いた人でした。
私が生まれたのは、曾祖父の死から十二年後のことですが、
安田家の食事は一汁一菜の非常に質素なものでした。

何にせよ、贅沢をしてはいけないという考え方で、
衣服にしても、善次郎はいつも
木綿の粗末な着物を着ていたそうです。

旅行をしていると
「へぇ、あの人が有名な大金持ちの安田善次郎さんかぁ…」
と皆から驚かれたと聞いています。

要するに、お金持ちになるには
一歩一歩堅実に歩んでいく以外にはないこと、
また無駄なことにお金を使っていては
いけないということでしょう。

そうやって善次郎は江戸へ出てきてから
僅か七、八年の間に定めた目標どおり
「千両分限者」になったのです。

また善次郎は、二十七歳で独立をするにあたり、
次の三つの誓いを自らに立てています。

「一、独力独行で世を渡る。女遊びをせず一所懸命に働く」

「二、嘘をいわず、正直に道を踏む。
   どんな誘惑があっても決して横道に逸れない」

「三、生活費は収入の八割以内にし、二割は貯蓄する、
   住居のために財産の一割以上の支出はしない」

ある日善次郎が町を歩いていると、
非常によい物件が見つかりました。
地主にいくらかと尋ねると、
いまの資産の一割以上オーバーしている。

その時、彼はその家が欲しくて堪らなかったにもかかわらず、
自分で誓いを立てた以上は破るわけには
いかないとして購入を諦めるのです。

しかしその二年後にまた同じ場所へ行ってみると、
幸運にも家は売れずに残っていた。

その頃にはすでに家を買っても資産の一割以内で
収まるほどに儲けていたため、
ここで初めて善次郎は購入しようと決めたのです。

普通であれば
「一割を少し超えてしまうけれども、まぁいいか」などと
考えてしまいそうなものですが、
善次郎はそうしたことを絶対にしない人でした。
これも彼の持つ、意志の力といえるでしょう。

        (中略)

善次郎は最晩年
「この二十年間守り通した処世の信条は?」という
雑誌社の質問に対し、

「勤倹、克己、一にもってこれを貫く」、

また別のところで

「人生は克己の二字にある。
 これを実行するところに成功があり、
 これを忘れるところに失敗がある」

 
 
と答えています。

現代人には、自分のいまあるがままの姿を
認めてもらいたいといった風潮が見受けられますが、
立派な人間になったり、成功したりするためには、
自分に打ち克つという意志の力を
持たなければいけないということを、
善次郎の生き方は立証していると思います。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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