“人格”の方程式

“人格”の方程式

稲盛和夫(京セラ名誉会長)

      

(『致知』2005年3月号「巻頭の言葉」より)

世間には高い能力を備えながら、
心が伴わないために道を誤る人が少なくありません。
私が身を置く経営の世界にあっても、
自分さえ儲かればいいという自己中心の考えから、
不祥事を引き起こし、没落を遂げていく人がいます。

いずれも経営の才に富んだ人たちの行為で、
なぜと首をひねりたくもなりますが、
古来「才子、才に倒れる」といわれるとおり、
才覚にあふれた人はついそれを過信して、
あらぬ方向へと進みがちなものです。

そういう人は、たとえその才を活かし一度は成功しても、
才覚だけに頼ることで失敗への道を歩むことになります。

才覚が人並みはずれたものであればあるほど、
それを正しい方向に導く羅針盤が必要となります。

その指針となるものが、理念や思想であり、
また哲学なのです。
そういった哲学が不足し、人格が未熟であれば、
いくら才に恵まれていても、
せっかくの高い能力を正しい方向に活かしていくことができず、
道を誤ってしまいます。

これは企業リーダーに限ったことでなく、
私たちの人生にも共通していえることです。

* *

この人格というものは

「性格+哲学」

という式で表せると、私は考えています。

人間が生まれながらにもっている性格と、
その後の人生を歩む過程で学び身につけていく哲学の両方から、
人格というものは成り立っている。

つまり、性格という先天性のものに
哲学という後天性のものをつけ加えていくことにより、
私たちの人格は陶冶されていくわけです。

言い換えれば、哲学という根っこを
しっかりと張らなければ、
人格という木の幹を太く、
まっすぐに成長させることはできないのです。

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「人間力.com」は月刊誌『致知』より引用しています。

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